PROJECT STORY

ドコモのプロジェクト事例

07

化粧品購入体験サービス

マーケットインの発想で
化粧品購入体験をリデザイン

OUTLINE

2023年4月、原宿の商業施設において個室空間を活用して従来の化粧品購入体験をリデザインする「Smart Powder Room」の実証実験が行われました。AIが顔タイプ診断を行ったうえで、一人一人の特徴に合わせた化粧品をレコメンド。ディスプレイ一体型ミラーにより、その場で分析情報を見ながら商品を試せるサービスです。この施策はSNSやメディアでも取り上げられ、最終的に想定の1.5倍となる275名のユーザーが実証実験に参加し、再利用意欲89%、化粧品継続利用意向82%という成果を獲得しました。この実証実験で得たデータをもとにプロジェクトはビジネス化に向け、さらなるブラッシュアップを進めています。

PROJECT MEMBER

私たちが紹介します
松沼 ゆう美
NTTコミュニケーションズ
ソリューションサービス部
ICTイノベーション部門
Yumi Matsunuma
松沼 ゆう美
川島 美由紀
NTTコミュニケーションズ
第三ビジネスソリューション部
ビジネスデザイン部門
Miyuki Kawashima
川島 美由紀
坂口 広樹
NTTコミュニケーションズ
第三ビジネスソリューション部
Hiroki Sakaguchi
坂口 広樹
01 プロジェクトを生み出す制度と文化

マーケットインでの事業創造に向け社員一人一人が消費者としてアイデアを

人々の価値観や行動が多様化する現代において、コモディティ化したサービスは選ばれにくくなっていきます。これから大切になるのは、消費者の目線から必要とされるものを考えて提供していくマーケットインの発想です。私たちの部署では、既存のソリューションやプロダクトにとらわれることなく、新たな視点から事業を創出していくことを目的に、キャリアや担当業務に関係なく誰もが一人の消費者としてアイデアを応募できる「全員参加型案件創出アイディエーション施策」を実施し、2022年には100件ほどの案が集まりました。なかでもコロナ禍でキーワードとなった「非接触」をヒントに発想された「ソファなどを配置した、仕切りのあるパウダールーム」というアイデアには、社内のアンケートでも「使ってみたい」という声が多数集まり、ビジネス化に向けて動き始めることとなりました。アイデアを投稿した坂口は、自動車業界の営業担当で普段の業務とは関係のない分野でのアイデア創出となりましたが、1年前まで化学業界で働いていた経験や生活の中にある身近な課題から施策を発想しました。川島や松沼たちアイディエーション施策の運営チームは坂口に参加を打診し、担当業務の垣根を越えたプロジェクトチームがすぐに立ち上がりました。当時の坂口の上司も「人脈が広がる」と通常業務との兼務を容認するなど、ドコモの制度と文化がスピーディな始動につながりました。
02 プロジェクトのブレイクポイント

幅広い視点を取り入れることで事業構想を飛躍的にアップデート

マーケットインの思考でサービス開発する時に重要なのは、構想が固まりきらない段階で仮説を持って消費者にアイデアをぶつけたり、有識者にインタビューしたりすることで、幅広い視点からサービスのあり方をブラッシュアップしていくことです。まずは、30名ほどの社員へのアンケートを実施したところ、「仕切りがあることで衛生面に配慮されている」「ソファがあるとゆっくり使えるのがうれしい」といった評価とともに、「顔タイプ診断などのサービスを取り入れてみては?」という意見が記載されており、それがパウダールームのあり方を飛躍的に広げることにつながっていきました。顔タイプ診断にはNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の画像認識プラットフォームが組み込まれた「Who AI」というサービスがあったため、社内でさらに専門的なアドバイスを受けることができました。その結果、Who AIによって16種の顔タイプを診断し、それぞれのタイプに合わせたメイクを提案、さらにその場でレコメンドした化粧品が試せるサービスへと構想が広がっていきました。もともとの案は衛生面に配慮しながらゆっくり過ごせるパウダールームでしたが、異なる視点や意見を取り入れていくことで、他人の目を気にせず、なりたい自分になれるパウダールームへと、構想を大幅にアップデートしていくことができました。
03 共創を推進するしくみ

原宿の商業施設で挑んだ実証実験において大きな手応えを得る

サービス像が見えてきた段階で、ターゲットも明確になってきたため、Z世代やミレニアル世代の数十名に市場調査を実施し、「楽しそう。ぜひ使いたい」といった評価を得ることができました。同時に実施した、商業施設や不動産会社といったサービスの導入先候補へのヒアリングでは、集客効果への高い期待を感じることができた一方、法律上の問題でパウダールームの改装は難しいという現実的な課題も見えてきました。解決に向けた話し合いのなか、商業施設の方から「施設のパウダールームを改修するのではなく、BOX型の個室空間をつくってはどうか」というアイデアを提案いただき、それなら導入のハードルを下げることができるし、「自分のペースで化粧品を試したい」というターゲットのニーズにもより深く寄り添うことができると、サービスの構想が固まりました。
「Smart Powder Room」と名付けられた新サービスの実現に向けては、パートナー企業の協力も欠かせなかったため、ドコモグループの顧客基盤を活かして候補となる企業をリストアップし、提案を続け、リモートワーク用のBOX型個室を手掛ける企業、さらにはディスプレイ一体型ミラーの開発に成功していた企業と出会うことができました。
リリースに向けた実証実験では、原宿の商業施設に「Smart Powder Room」を設置し、時に待機列をつくりながら想定の1.5倍となる275名の方にご利用いただくことができました。また再利用意欲は89%、レコメンドされた化粧品の継続利用意向も82%と、とても高い評価を得ることができました。
04 これからの展望

事業化を実現し共創パートナーとしてのプレゼンスを向上させる

お話してきたように、「Smart Powder Room」が形になるまでには様々な方との連携やパートナーシップが大きな推進力になりました。ターゲットユーザへのヒアリング、パートナー候補の企業に関連する有識者へのインタビューなど、生の声を拾い上げ改善していく日々。特に、個室空間事業者や商業施設などのパートナー企業から協力を得るためのプレゼンにおいては、相手企業にとっての価値に説得力を持たせることが難しく、価値仮説を何度もブラッシュアップしていきました。消費者にとっての価値は、原宿の商業施設での実証実験で十分に検証することができましたが、これから持続的なビジネスとして成立させるためには、AIによる顔タイプ診断や、化粧品のテスター利用後のユーザー行動といったデータを、パートナー企業にとっての価値へとつなげていくことが重要です。ID認証やECサイトへの連携、購買データ利活用といったドコモグループのアセットをフル活用することで、ドコモにとっても、個室空間事業者や商業施設などのパートナー企業にとっても価値のあるビジネスモデルの構築に向け、具体的な検討を進めています。
「Smart Powder Room」が全国各地に設置され、多くのユーザーに新たな体験を提供することはもちろん重要ですが、ドコモグループのビジネスという観点では、このプロジェクトはまた違った意味も持っています。多くの企業にとって、NTT Comはまだ通信の会社というイメージが強いですが、「Smart Powder Room」のようにマーケットインの発想で新たなビジネスを創出していくことで、NTT Comを共創パートナーとしてのプレゼンスにまで高めていきたい。そして、いずれ世界を変えるようなサービスを次々とリリースする会社へと進化する足掛かりにしたいと考えています。
※掲載内容は2023年12月時点のものになります

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