PROJECT
STORY

02

一次産業へのICT支援

日本の水産業の未来を変える
ドコモのICTと地方創生への取り組み

OUTLINE

ドコモではICT(情報通信技術)を活用し、農業・畜産・水産といった一次産業の課題解決に取り組んでいます。水産業では海水温や塩分濃度などの海洋データをICTブイで自動収集。クラウドで収集したデータを一元管理するソリューションを提供することで、漁業者の生産性や所得向上をサポートしています。2020年5月には「鯖やグループ」と業務提携し、市場拡大が見込めるサバの養殖のICT化にも着手しています。勘や経験に頼らない新しいサバ養殖モデルの確立をめざしながら、養殖業への新規参入促進や地域活性化に挑戦しています。

PROJECT MEMBER

私たちが紹介します

  • 地域協創・ICT推進室

    YOKOI YUKO

    横井 優子

  • 地域協創・ICT推進室

    YAMAMOTO KEIICHI

    山本 圭一

01 ドコモの提供価値と意義​

技術力×コミュニケーション力 で、現場が抱える課題を解決する。

海に囲まれ、海洋資源が豊富な日本では、全国各地で漁業や養殖業が盛んに行われてきましたが、近年は気候変動の影響を受け、海水温が大幅に上昇するなど、勘と経験にもとづいた従来の漁法や養殖技術だけでは対応できない状況になりつつあります。
そこでドコモでは水温や塩分濃度、溶存酸素量などを測定する各種センサーを搭載した「ICTブイ」を開発しました。漁師さんが長年培ってきた勘と経験を補うために、最新の海洋データの提供を行っていますが、自動収集されるデータの精度への評価も高く、いち早く海洋観測に参入したドコモのノウハウが活かされています。
また、現在は「鯖やグループ」と業務提携し、市場拡大が見込めるサバ養殖への転換にも着手しています。この事業では海洋データの収集に加えて、投入するエサの量やタイミングをカメラで観察する仕組みを考案することで、エサの量の最適化や、へい死率(死亡率)の低下を実現しています。
こうした解決策の多くは、現場に直接足を運び、漁師さんと共に課題に向き合うことで生まれたものです。全国各地に支店があるドコモのマンパワーと、通信事業で培ったコミュニケーション力が強みになっています。

02 ドコモのチャレンジ​

技術提供の枠を超え、未来の食文化創造へ。

数ある養殖魚のなかから、サバに着目したのは、稚魚から出荷するまでに数年かかる他の魚とは違い、生育期間が8~10ヶ月と短く、生産効率が良いこと。また、サバは栄養価が高く人気のある魚ですが、近年は漁獲量が減少するなど、需要に供給が追いついていない点が挙げられます。一方で、サバは養殖が難しいといわれており、ICTを活用し、ノウハウを積み上げることで供給量の拡大を見込んでいます。
しかし、ICTブイなどのソリューションをサバ養殖の現場に提供することが、事業の目的ではありません。人工種苗(人工的に作った稚魚で、天然資源に影響を与えない点で環境に優しく、稚魚から親魚までの履歴が追えるため、安全とされている)の生産やサバ料理専門店を営む「鯖やグループ」と、通信事業者の「ドコモ」という養殖の専門家ではない両者がタッグを組み、自由な発想でサバの生産から流通までをトータルで手がけている点が大きな特徴です。
そのためICTによるサバ養殖モデルの確立のほか、完全養殖サバの認知拡大、養殖生サバを食べる文化の創造にも挑戦しています。

03 得られたこと・成果​

当事者意識を持ち、柔軟な行動で解決する。ビジネスマンとして、大きなスキルアップに。

通信事業で知られるドコモに入社し、一次産業の課題解決に携わることにはどんなメリットがあるのだろう?と、不安を感じる人もいるかもしれません。ですが、稚魚を生簀に投入するタイミングから和歌山県の串本町にある養殖の現場に足を運び、養殖の課題をイチから体験・体感することはビジネスパーソンにとって貴重な財産になるはずです。
なぜなら、私たちの所属する地域協創・ICT推進室はCSRとは異なり、お客さまと共にビジネスとして地方創生に取り組んでいます。地方創生の難しさは、課題が明確ではなく、しかも、さまざまな問題が複合的に絡み合っている点にあります。
私たち事業者だけでは解決できないような根本的な課題に直面することも頻繁にあります。そのため現場で、当事者意識を持ちながら考え、行動することが常に求められます。そして、漁業関係者や地方自治体など、多くの関係者とコミュニケーションを取りながら、ビジネスとして地方創生に貢献することは、非常にやりがいのある仕事だと言えます。その達成感は普段の業務では得難いもので、正解が見えないこれからの社会で必要とされるスキルです。

04 これからの展望

右肩下がりの日本の水産業をドコモのICTで再び盛り上げたい。

ICTブイなどのソリューションで、海の見える化をサポートするのは、課題解決の一環に過ぎません。効率化された新たなサバ養殖モデルが確立できれば、経営に悩む養殖業者も魚種をサバに転換することで事業存続が可能になるのではと考えています。
また島国の日本は海に囲まれており、産業の乏しい地方でも容易に参入できます。生簀を作り、サバが育てば、加工施設も必要になり、雇用も生まれます。もし、近隣でサバを売るマーケットがなければ、飲食店を営む「鯖やグループ」で買い取ることも可能です。これは「鯖やグループ」と提携し、養殖サバの生産から流通まで一貫して関わることができる私たちの強みでもあります。
日本の水産業は、漁獲量・生産額、共に右肩下がりが続いています。そこにドコモのICTでイノベーションを起こすことによって、水産業を成長産業に変えていきたいと思っています。サバの養殖を通じて、日本の水産業、そして地方を盛り上げていくのが私たちの目標です。