PROJECT
STORY

06

メタバースサービス

新たなつながりを結ぶ
メタコミュニケーション

OUTLINE

今、新たなテクノロジーの登場に伴い経済圏が現実世界からバーチャル空間へと広がろうとしています。世界中で開発競争がくり広げられる中で、2023年2月、ドコモが開発したメタコミュニケーション技術を搭載した「MetaMe」のβ版が先行提供され、事業検証を開始しました。

アバターを通じて自分らしい空間を表現できる「Identity World」、コミュニケーションを通じてコミュニティを育める「Community World」の提供を開始しました。超多人数接続技術による1万人規模でのイベント開催、AIを活用した価値観理解技術によるユーザー理解技術を開発し提供しています。また、バーチャル空間内で自由に会話できるAIアイドル、AIアニメキャラクターの開発や、NFT(※)をやり取りできるマーケットプレイスの開発などを進めています。

現在も新規技術開発と新規事業開発を高速かつ同時進行で進めながら、新時代の常識となり得る新しいコミュニケーション文化の社会実装を進めています。

※ NFT…非代替性トークン(Non-Fungible Token)。さまざまなデジタルデータやデジタルコンテンツに、唯一無二の価値を与える技術。

PROJECT MEMBER

私たちが紹介します

  • R&D戦略部 社会実装推進担当

    SUZUKI KUNIHARU

    鈴木 邦治

  • R&D戦略部 社会実装推進担当

    KANAI TOMOHIKO

    金井 智彦

  • R&D戦略部 社会実装推進担当

    MATSUNAGA TORU

    松永 透

  • R&D戦略部 社会実装推進担当

    UEDA KAZUMASA

    上田 一将

01 事業創出を支えるドコモの制度

バーチャル空間に“わたしらしい私”でいられる場所をつくる

メタバースの登場によって、私たちの未来は大きく変わろうとしています。従来では考えられなかったコミュニケーションやビジネススタイルが生まれ、バーチャル空間で自分らしさを表現する人も出てくるでしょうし、そこで働いてお金を稼ぐ人も生まれていくはずです。バーチャル空間の活用が広がり、新たな経済圏が生まれようとしている中で、ドコモグループが次世代の事業の柱としてメタバースサービス「MetaMe」に挑戦することは自然の流れだったのかもしれません。もともとは新事業創出プログラム「docomo STARTUP」(※)を活用して生まれたプロジェクトでしたが、その後、開発チームも含めると数百名が関わる巨大プロジェクトに発展しました。企業理念である「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」に向け、サービスでどんな未来を実現すべきなのかというテーマについては議論に議論を重ねました。その突破口となったのが、入社2年目メンバーの「もっと深いところでつながりたい」という想いでした。たとえ同じアイドルが好きだったとしても歌なのか、人物が好きなのかによって出会いの質は変わってきますし、その人の行動をデータとして蓄積することで現実社会では実現できない高精度なマッチングが提供できるようになります。見栄を張る必要もなく、誰もが自分らしさを表現し、テクノロジーによってより深い自分らしさでつながれる場所。このビジョンはそのまま「わたしらしい私、つながる、ひろがる」というMetaMeのキャッチフレーズになりました。

※ docomo STARTUP…ドコモグループ社員から生まれた新しいアイデアをもとに、共創パートナーと未来の新事業を創り出すプログラム。

02 ドコモの強み

ドコモの最先端テクノロジーがメタバースの新しい可能性を開いた

私たちはMetaMeが目指すべき姿を、「共感や貢献などの価値交換を通じて、誰もが新しいIdentityやCommunityを形成することができるメタコミュニケーション」と定義しました。これを実現する鍵となったのが、ドコモグループの最先端のテクノロジーです。リアルとバーチャルの双方でデータを解析し、ユーザーの心の動き、価値観をモデル化することができる「価値観理解技術」。行動と感情から価値観を深く探り、人に寄り添った高精度なマッチングやレコメンドを行える「行動変容技術」。そして、従来の運用コストを96%ほど低減することが可能なドコモの特許技術である「超多人数同時接続技術」。これら革新的な研究開発成果の集積が、MetaMeでしか味わうことができない最大1万人参加の「熱量ある共体験」を実現する大きな足掛かりとなりました。メタバースサービスは一般的に「会話のきっかけがない」、「自分のコミュニティが見つからない」、「人が少ないと盛り上がらない」という課題があるのですが、この3つのテクノロジーによって「趣味嗜好を可視化する価値観オーラ」、「高精度なマッチングを提案するAIペット」、「熱量あるイベントを体感できる1万人広場」などの機能を開発できたこと、ドコモグループならではのメタバース体験を実現できたことは非常に大きかったと思います。

03 ドコモブランドの信頼

β版の実現を加速した企業や自治体との信頼関係

プロジェクトの実現を支えたのは、ドコモグループのテクノロジーだけではありません。MetaMeの重要な構成要素のひとつである「Community World」の開発はもちろん、オンラインショッピング事業を手掛けるパートナー企業、地域創生・活性化に注力する自治体などの協力を得られたことがプロジェクトの大きな飛躍につながりました。新事業の創出は一般的に、1,000回中3回しか成功しないと言われる過酷な世界です。パートナー企業や自治体の方々が、MetaMeの「遠隔地の方にも商品や町をPRできる」、「超多人数同時接続を活用した新たな購買・旅行体験も創出できる」という構想に共感してくださり、ビジネス創出のリスクを承知したうえで、「ドコモグループが考える未来だからこそ道を共にしたい」と言っていただけたことは大きな励みになりました。そのようなパートナーとともに、新たな購買体験が楽しめるオンラインショッピングモール、地域の商店街やアートギャラリーなどを再現したバーチャル空間などの開発を推進。デモ版におけるユーザーヒアリングで高い評価を獲得し、2023年2月にβ版としてサービスリリースすることを決定しました。こうしてドコモグループのテクノロジー、サービスが市場に受け入れられるかどうかを検証するフェーズへと移行したのです。

04 ドコモが目指す未来

事業検証・技術検証を進めメタバースのグローバルスタンダードを目指す

β版のリリース後、MetaMeに関するさまざまなフィードバックを得ることができました。パートナー企業や自治体などからも嬉しい報告を受け取っていますし、eスポーツの大会中継では200人という会場の収容人数を超えた400人の集客に成功しました。メタバースサービスを活用したコミュニティ間の相互集客だけでなく、会場の大きさという物理的な制約を取り払う新たなビジネスの可能性を発見できたこと、「バーチャルとは言え、会場中のファンと観戦しているような一体感があった」という評価をいただけたことは事業検証・技術検証の双方において大きな価値があったと思っています。MetaMeへの期待の裏返しだと思うのですが、先日、関係各所から相談されている機能追加や改修などのリストが1万件を超過しました。限られたリソースのなかでどう実現していくのかは悩ましい問題ですが、次のステップには「リアル会場とバーチャル会場を連携させた新たな体験価値の創造」、「技術のオープン化によるクリエイターとの共創関係の構築」なども控えています。前例のない挑戦には失敗がつきもの、上手くいくこととうまくいかないことの検証を積み上げていくことが重要です。今後も成功と失敗をくり返すなかでMetaMeを進化させ続け、世界中のどのサービスにも負けない「わたしらしい私でいられる場所」を形にしていけたらと思っています。

※掲載内容は2023年12月時点のものになります

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